新井白蛾「易学小筌」付録に書かれている乾卦の説明を紹介します。
乾(けん) 天 一 進退表裏の解と知るべし
乾は健である。この卦はものごとが滞りなく、さらさらと埒(らち)明く意である。
馬、天鵝(てんが)、獅(しし)、象、龍〔以上動物の類、これ以外も類推すべし〕
金〔すべて銅鉄の類、類推すべし〕玉、貴物、冠、鏡、刃、宝珠、圓物(まるきもの)、剛物(かたきもの)、木果(きのみ)〔以上静物の類〕
天、霰(あられ)、雹(ひょう)、水〔流れ、山水〕、京都〔すべて繁萃*(はんすい)の地、推して知るべし〕、高所〔以上天丈地理の属、余りは通知すべし〕
*モノや人が集まるところという意味
君〔貴〕、父〔老人長者の類〕
官位人、死人、慳貪(けんどん)、邪侫(じゃねい)、癲狂(てんきょう)、盗賊の類、首、骨、肺〔以上身に属するところである、病に関するものはこれから類推すべし〕
乾は天の卦であるので、だいたいものを覆う意味にとるのである。それで衣類などの意味も考え、また言語の意味とも理解し、赤い色、白い色などとも見るものである。乾燥したもの、辛いもの、珍しいものなども考えあわせる。