六十四卦のうち離卦を上に置くものを紹介しています。
今回は「火水未済」です。
卦の形は上卦が離、下卦は坎。
火と水で、まったく性質の違うものが重なっています。
また、陰と陽の爻が交互に並んでもいます。
先に紹介した六十四卦表をご参照ください。
易経にある火水未済の卦辞は以下のようなものです。
離／坎
火水未済
未済。亨。小狐汔済。濡其尾。无攸利。
未済は亨る。小狐汔（ほと）んど済（わた）らんとす。その尾を濡らす。利するところなし。
この卦の形は、陽位（陽爻のいるべきところ、下から一番目、三番目、五番目）にすべて陰爻があります。
逆に陰位（下から二番目、四番目、六番目）に陽爻があります。
本来いるべきところを、全爻がはずれています。
それで未完成という意味が出てきます。
易ではこのような未完成の状態を、むしろよいものと見ます。
未完成ゆえに未来があります。
それで、願い事は叶う。
しかし、最後の部分で油断することがあるかもしれません。
完成する時期にはまだなっていないのでしょう。
この卦に対して、新井白蛾はどのようにいっているでしょうか。
火水未済
「暁光、海に浮かぶ」の象
「花落ち、実を結ぶ」の意
この卦は、
ものの成就することを意味する卦である。
出来上がったものがまだ役に立っていなくても、
この後は他のものと相交わって物事が進み、
結果が出るようになるという吉兆をあらわす。
願望は調う。
胸中に物事があるが、
それを言い出すべきか、
言い出さざるべきかの中間にいると知るべし。
心身には辛苦あり。
色情あるが、
婚姻、
養子には吉。
妊娠お産は平穏。
病には凶兆あり。
失せものはあらわれる、
思いもしていないところを探すべし。
待ち人は来ない。
女人には悦びあり、
男は窮苦があるが、
後には解決する
易学小筌から
易学小筌で新井白蛾は火水未済をものごとが成就する卦であると読んでいます。
陰爻と陽爻がきれいに並んでいるが、それは正しい位置を得ていない。
それで未だ役に立っていない。
それでも、周囲との交わりがうまく行われれば、その価値が見出されるでしょう。
願望は叶います。
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