六十四卦のうち巽卦を上に置くものを紹介します。
今回は「風雷益」です。
卦の形は上卦が巽(風)、下卦が震(雷)。
外側に向かって柔軟で(風)、内側に力強いもの(雷)を持っているような形です。
先に紹介した六十四卦表をご参照ください。
易経にある風雷益の卦辞は以下のように書かれています。
巽/震
風雷益
益。利有攸往。利渉大川。
益は、往くところあるに利あり。大川を渉るに利あり。
卦の形、上卦の一番下の爻が陰爻で下卦の一番下の爻が陽爻。
これは上卦にもともとあった陽爻と下卦の陰爻と取り替えたと見ます。
つまり上卦から陽爻を減らして下卦に持っていったと。
それで上卦が減って下卦が増(益)した。
易の卦辞は下卦、すなわち民衆、普通の民の方を中心に解釈するので「益」と読みます。
巽卦は木のイメージもあります。
そこから木で作られた舟でもあると解釈されます。
その舟が動き(震)の上にあります。
それで進むのによい、大川を渉るのによい、新たなことを始めるのによい、という意味にもなります。
この卦に対して、新井白蛾はどのようにいっているでしょうか。
風雷益
「風に蘆花沸く」の象
「耒耜(すきくわ)邦(くに)を利する」の意
この卦は、
上下ともに動いて安静に過ごせない意味であり、
そのため住むところ安からず、
心身定まらず、
辛苦ありと知るべし。
思いもよらない害難あり、
また損耗もある、
慎むべし。
出かけることがあるのはよい、
旅行は吉。
婚姻、
養子縁組、
いずれもよい。
病は凶。
妊娠お産、
障りがあるかもしれない
易学小筌から
お上の方からなにかが下ってくる。
それで思いがけず自分たちも動かないといけない。
そんな苦労があるだろうと読んでいます。
庶民にとっては、お上がよかれと思ってすることが、なんとも迷惑なこともある。
そんな感じで読んでいるようです。
新井白蛾は、あくまでも庶民側の視点で卦辞を読んでいますね。
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