六十四卦のうち巽卦を上に置くものを紹介します。
今回は「風火家人」です。
卦の形は上卦が巽(風)、下卦が離(火)。
この卦は、家庭での男女のあり方、家族それぞれのあり方を示しているとされています。
ただ、正しいとされるあり方は、時代で変わっていくものですね。
易経や易学小筌での説明を紹介しますが、解釈は現在の我々の状況に合わせて行われるべきかもしれません。
先に紹介した六十四卦表をご参照ください。
易経にある風火家人の卦辞は以下のように書かれています。
巽/離
風火家人
家人。利女貞。
家人は、女の貞しきに利あり。
易経が書かれた時代は、男は外、女は内という考え方でした。
この考え方は、日本でも少し前までは大体同じでしたね。
これは易経が成立したとされる時代背景を反映しているものだといえます。
当時は殷(商)という国の体制を壊して新しく周という国を作り上げようとしていた時期。
戦や騒乱に男を連れ出すためには、このような考え方が広く受け入れられていることが必要だったからかもしれません。
で、上卦巽の真ん中の爻が陽爻(男)。
下卦離の真ん中が陰爻(女)。
男は外側を向いて自分にとっての正しい構えをとっている。
女は内側にいて、自分の周囲をしっかりと守っている。
それぞれがいるべき位置にある。
この卦の解釈は女の方に重点をおいています。
女が正しいあり方をしていれば願いが叶う。
現代では、男は外、女は内、というような固定化された考え方は変化していますね。
この卦の解釈は、家庭の、社会との関係を整理して、正しいものにしていくというような解釈が穏当かもしれません。
この卦に対して、新井白蛾はどのようにいっているでしょうか。
風火家人
「窓より月を見る」の象
「気ありて形なし」の意
この卦は家内安寧をあらわす卦である、
万事婦女をたて、
頼れば吉。
婚姻吉。
妊娠お産障りなし。
病は重くなる、危うい。
失せものは出てくる。
待ち人は来ない。
家事に手のかかることが起こる、
また立身名利の望みもある。
願望はゆっくりと叶う。
若い人は色情の悩みがあるだろう。
始めは物事が思い通りにいかないが、
そのうち人に助けられて少しずつよくなっていく
易学小筌から
新井白蛾の生きた時代は、その後の変化の兆しはありますが、大きな戦乱は国内にはなかった頃。
なので、婦女をたてた卦辞になっています。
万事、女性に頼ると吉。
立身出世も、願い事も、女性が鍵になります。
ただし、若い人には色情の悩みがあるかもしれません。
相談相手が必要になりそうです。
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