今日の卦辞:水天需
坎/乾
水天需
濡。有孚。光亨。貞吉。利渉大川。
濡は、孚あり。光(おお)いに亨る。貞なれば吉。大川を渉るに利あり。
上卦の坎(水)は危難、下卦の乾(天)は大いに力の満ちた動き。
危難の前で立ち止まっていますが、困窮するような状態にはありません。
心の動きは自然の流れと齟齬せず、願いは大いに通ります。
大きな川を渡るようなことに挑んでも成果が得られるとき。
ただし、無理に物事を進めてはいけません。
しかるべきときを見計らい、状況をしっかりと見極める。
そして、内側にためた力を最大限に生かして取り組みましょう。
また、天(乾)の上に雲(坎)がある形でもあります。
やがて雨が降り、大地を潤します。
そんなときには、自分の心や身体を養うのがよい。
雨が上がると、新たなことに挑戦してもいいでしょう。
易経と新井白蛾の「易学小筌」にある水天需の卦辞は以下の記事もご参照ください。
水天需の原文は以下のリンクから。
今日の暮らしのヒント
貞吉(貞なれば吉)の「貞」。
この字は「卜(ぼく)」と「貝(かい)」からできています。
「卜」は占い。
亀甲占いのことですね。
「貝」は、もと「鼎」。
神や先祖に捧げる生贄を煮る器具です。
この二つを合わせた文字が「貞」。
占いで大事なことは、得られた言葉の意味を「真摯に受け止めること」。
そのため、斎戒沐浴し、心身を清めてから占うのが正しいやり方。
占いの結果から何を読み取るのかは、それぞれの人によるのでしょうが、その結果は真摯に受け取らないといけません。
それが占いに、何よりも求められること。
神や先祖を祀るときに大事なのは、現在の自分に至るまでの長い時間を受け止め、現状を肯定すること。
神とは「天然自然」、「森羅万象」、「世界」。
先祖とは現在の自分が存在するための、絶対的な根拠。
それらを明確に意識していないといけません。
「貞なれば吉」とは、自然の声に耳を澄ませ、真摯に自分の現在の在り方を見つめる態度を取ることを求めている言葉といえます。
水天需の過去記事は以下になります。