今日の卦辞:水風井
坎/巽
水風井
井。改邑不改井。无喪无得。往來井井。汔至。亦未繘井。嬴其瓶。凶。
邑を改めるも井を改めず。喪うなく得るなし。往來井井たり。汔(ほと)んど至らんとして、また未だ井に繘(つりいと)せず、その瓶を嬴(やぶ)る。凶。
坎(水)の下に巽(風)の卦があります。
水が柔らかく浸み出してくる形でしょうか。
あるいは水が広がっていく様子。
卦辞の「邑を改めるも井を改めず」の「邑」とは人々の暮らす村や街、城郭の中などに相当します。
そこでの暮らしの中心になるのが井戸。
それは暮らす人々が変わったとしてもそのまま残り続け、利用されるものですね。
井戸はいつまでも、人々の暮らしを潤し続けます。
井戸は人々に水を与えながら、人々から何かを求めるということはありません。
何かをしてくれたら、お返しに何かをしてやる。
そんな在り方ではありません。
それでいて、井戸は何かを失っているわけでもありません。
井戸との付き合い方を間違うと、良くないことも起こってしまいます。
水を汲み上げる釣瓶を壊してしまうような使い方をすると、水が得られないばかりか、人々の暮らしの基盤を失ってしまうことにもなります。
そんな人が一人いると、その井戸の周りでの社会は維持できなくなります。
自分の暮らしの基盤を支えてくれているもの。
無償で与え続けてくれているもの。
そんなものの大切さを、改めて感じるべきですね。
易経と新井白蛾の「易学小筌」にある水風井の卦辞は以下の記事もご参照ください。
水風井の原文は以下のリンクから。
暮らしのヒント
日常の生活は、何かをしたから何かが得られている、とか、何かと交換に何かを手に入れた、とか、そんなことの繰り返しでできているように感じます。
それでも、代償でもなく、交換でもなく、得られているものが生活の基盤にあったりします。
それも、誰もが平等に得られるもの。
それに気づくことが大切です。
誰もが平等に得られるものなのに、それを自分のためだけに利用している人や集団があるかもしれません。
それは、何かを得ているが、もっと大きなものを失っている状態です。
平等に与えられているものを独占している状態が続くと、同時に何かを失い続けて、やがて枯渇します。
自分を含め、自分の社会の中で起こっていることを見渡してみるよい機会かもしれません。
水風井の過去記事は以下になります。